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アジア初の先住民専門教育機関「パムラアン先住民族教育センター」【フィリピン】

■2009年10月30日

パムラアン先住民族教育センターの入口。センターのデザインは、先住民族の人々のスタイルに即したものとなっている。

パムラアン先住民族教育センターは、南東フィリピン大学(公立)と共同で行っている。短大、4年制の大学卒業の資格が取得できる先住民族に特化した教育を行っている。


このような先住民族に特化した教育センターはアジアで初めてである。ミンダナオ島ダバオ市の中心から車で約30分のところにあり、ミンダナオ島、ルソン島、など様々な島から来た先住民族の学生が、今年は92名(女子52名、男子40名)が学び、共同生活をしている。学生たちがあちこちで働いたり、勉強したりしていて、穏やかだが、活気に満ちた雰囲気があった。

東ダバオ州出身、マンダヤ民族のレオビック君による自己紹介。1人1人自信を持って、出身部族や将来の夢などを話してくれた。

フィリピンには110の先住民族がおり、人口はあわせて推計1200万人である。先住民族はフィリピン社会で最も恵まれない層をなし、貧困、栄養不良、搾取、差別、天然資源の収奪、人権侵害に苦しみ、基本的社会サービスの利用機会が極度に不足している。教育をはじめとする基本的サービスを受ける権利はあるものの、教育は自分たちの文化に配慮されたものではなく、先住民族の生活に即したものではない。とくに高等教育ではそれが顕著に表れる。それでも大学教育を受けたいと思う人は、しかたなく既存の公立ないし私立の大学に入学するが、そこではまったく新しい文化と「現代的な教育」に直面し、その過程で、自らの文化とアイデンティティを失い、他の学生から差別される体験をするのである。


本事業では、資金不足の先住民族の青少年に彼らにふさわしい教育機会を提供し、地域社会に役立つ仕事をするのに必要な技能とリーダーシップ性を身につけるよう養う。あわせて、彼らが将来、先住民族社会の発展へ向けた包括的活動を考え出すような訓練も行う。


センターの学生たちの話に戻ると、ACTが支援する3年生は、全員が文化人類学の専攻で、英語などの授業は南東フィリピン大学で受けるが、それ以外は、先住民族のための授業を受けている。

ACTが支援する3年生たち。

先住民族のための授業では、その歴史や権利、文化、さらに社会開発の手法も学び、夏休みなどを利用して3週間の実習を行う。前回は、人口などの基本データの収集を行ったとのことで、学生は「話しかけても対応してくれない人などがいて大変だった」、「実際にどれほど多くの人が村を離れ、マニラに出稼ぎに行っているかを肌で感じた」と言っていた。


様々な地域と背景をもった学生たちは喧嘩をすることもある。喧嘩の原因は、多くがお互いの偏見であること。様々な地域、民族からきているので、皆違う言葉と習慣を持っているため、些細なきっかけでその違いが表れる。しかし、喧嘩は主に自分たちで収束させているとのこと。日々の生活の中から、違いとともに共生していくすべを学んでいた。


将来は、自分たちだけが収入を得るのではなく、親や家族、地域のために働きたいと言う。きらきらと輝く目からは、自信が育っていることを感じた。


■報告:西島恵(写真中央)