「自助努力」のモデルケース【スリランカ】
自宅から15km離れた農地に毎日通う農民たち。うしろの山から時々ゾウが下りてくるという。今夜も夫たちは寝ずの番をする
スリランカでは「ムドラリ」と呼ばれる「仲買人」や「高利貸し」は、利子は高いが金を貸し、種苗や肥料を売り、どんなに遠隔地でも農産物を買いつけに来るので、農民の敵でありながら彼らの生活になくてはならない存在でもある。
現地NGOのAIMは北西部州クルネガラ県において、この不公平な力関係と悪循環を断ち、農民が適正価格で農産物を売り生計をたてられるよう、農民の組織化と村落ベースのグループ貯蓄・融資活動に20年近く取り組んでいる。私はそこで、過去12年間、自分たちの力だけで資本強化し、融資システムを作り上げてきた女性グループ(メンバー数8人)と出会った。
彼女たちは自宅から15kmも離れている農地まで、数年前まで毎日徒歩で通っていた。さらに4年ほど前からゾウが畑に来て農作物を食い荒らし始め、夫が徹夜で番をし、妻も朝4時に起床して畑に向かう。自宅には電気・水道設備がなく、疲れて帰宅してもさらに2km歩いて水浴び場に毎夜通っている。そこまでしてなぜそこに住み続けるのかと尋ねると、「子どもの教育のため」と口を揃えた。
過去に組織化された15のコミュニティ・ベース組織(計58グループ)のうち、3グループのメンバーに集まってもらった。自分たちで決めたというユニフォームを着て
「女性は男性よりも安い賃金で日雇い農作業をし、ムドラリから月利10%で借金していました。私たちは夫に頼らず、ココナツ殻の炭焼きやホウキづくり、村市場を開くなどして自力で資金を集め、グループ・ファンドを作りました。」当初の融資額は250ルピー(約205円、半年間、月利5%)、原資として各自月25ルピー(20円)を集め、毎月200ルピーずつファンドに積み立てていった。現在の利率は2%、融資限度額は5万ルピー(約4万1千円)で、融資残高は約24万ルピー(約20万円)まで増えた。メンバーの半数が土地を借り、残りは土地なしだったが、現在はそれぞれ1エーカー以上の農地を所有している。
12年前は日雇い農業労働者で、ムドラリへの販売額から運搬費を差し引かれていた。現在は、自分たちで運搬車両を借り上げ、政府直営市場で直売している。3エーカーを所有し、メンバー2人で共同管理するまでになった
リスクが高い農業セクターへのマイクロファイナンスは実は非常に難しく、外部からの財政支援なしにファンドを増強してきたというのは非常に驚きであった。彼女たちの状況を考えれば、ゼロから20万円までにするのにどれほど気の遠くなる時間と労力を使ったか、想像に難くない。
しかもこのグループが特殊なのではなく、同様のグループが県内合わせて58あり、貯蓄総額は約550万ルピー(約451万円)、融資総額は約470万ルピー(約384万円)だというのだから、彼女たちのモチベーションがどのように長い間保たれてきたか、AIMのファシリテーション力についても高い関心をもっている。
このプロジェクトでは今後3年間、同県内の35村、合計850世帯に対象を拡大していく。
■報告:鈴木真里(事務局長)
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