開催報告|6/28・7/5日韓みらい若者支援“語り場”「日韓の被爆者の人生の軌跡を『ストーリーマップ』で学ぶ」
「日韓みらい若者支援事業」では、2025年度の最初の“語り場”活動として、高校生を対象とした「日韓の被爆者の人生の軌跡を『ストーリーマップ』で学ぶ」を2回にわたって実施しました。
対面での開催となった今回の活動では、第1回に8名、第2回に7名の高校生が参加し、「ストーリーマップ」と呼ばれるデジタル教材を用いて学びを深めました。
<開催日時・場所>(開催時間は各回とも14:00から16:10) 【第1回】2025年6月28日(土)@アジア文化会館101教室(東京都文京区) 【第2回】2025月7月5日(土)@東京大学本郷キャンパス情報学環・福武ホール(東京都文京区) <企画者・講師> 村山美耶子氏(東京大学大学院学際情報学府・文化人間情報学コース修士課程) |
各回の概要と参加者の皆さんからの質問や感想についてご報告します。
・第1回
この日は、はじめに自己紹介やアイスブレイクを行った後に、事前学習として原爆や平和に関する基礎的な知識をクイズ形式で確認しました。クイズを通じて、講師の村山氏から原子爆弾の影響や、「在外被爆者」の概要などについて学びました。
その後は、李鍾根さんと兒玉光雄さんの被爆の証言映像を視聴しました。映像では、参加した高校生たちにとって時に想像を絶するような体験が語られる場面もあったと思いますが、全員が真剣に耳を傾けていました。
・第2回
この回では、一人ひとりが実際にデジタル教材「ストーリーマップ」を操作して、兒玉光雄さんと李鍾根さんの被爆体験を学びました。「ストーリーマップ」を用いることで、イメージが掴みにくかった地理的な部分、写真、そして絵が証言とともに結ばれ、よりお二人の体験を鮮明に学ぶことができました。その後は複数のグループへ分かれ、「ストーリーマップ」で学んで考えたこと、思ったことをグループ内で話し合いました。最後に、その内容をまとめとして全体に向けて発表し、共有しました。
ストーリーマップを通じた学習の感想や質問(抜粋):
今回の“語り場”活動では、原子爆弾の影響と人種・民族差別が重なる複雑さに焦点を当てて学びました。参加者たちは、学んでいくなかで残酷さ、悲しさ、無念さといった感情に触れることもあったかと思います。それでも、このテーマを「私たち」の問題であると捉え、未来を見据えたコメントをしっかりと語ってくれたことが印象的でした。以下、今回の学習で共有された感想や質問を一部ご紹介します。
- (グループワークで被爆者が)壮絶な人生を送ったことを共有した。生きる中で差別され、被曝前後でも差別され、45年以降でも差別の意識が変わるわけではない。もっとひどい差別があったのではないか。自分たちの先祖がやってしまったことかもしれない。当事者としての責任はないが、知る責任はある。知ることは義務だと思った。
- 「日本人」だから助けられたのか、「朝鮮人」だから助けられなかったのか、違いがあったのか気になった。今の人たちの原爆への理解の低さを感じた。当時、国民の愛国心があったと思ったが、今は政治に関心がない。どのような影響があったのか。
- 李さんの幼少期について詳しく書いてあった。なぜ差別されていたのか、その理由を考えていくうえで、パッと見ることのできるストーリーマップはよいと思った。「被爆者」としての差別、「日本人」でないことの差別もあったと思うが、朝鮮半島に行けばどういう対応があったのか気になった。
- これまで興味があってみてきたわけではなかったが、今日ストーリーマップをみて、複雑な気持ちになったけど、この人たちのおかげで知ることができているのだと思った。
- 日本に原爆が落とされたことは知っていて、被害者は日本だと思っていた。そうではなく、知るべきことがいっぱいあると感じた。他の国のことも知る必要があると思った。





ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
(報告:村上究人)
講師プロフィール:
【村山美耶子氏】
- 現在、東京大学大学院学際情報学府・文化人間情報学コース修士課程に在籍。平和教育のためのデジタルアーカイブの作成とその教育的活用、日韓の被爆者の人生の軌跡をまとめた「ストーリーマップ」が、⽇韓の⾼校⽣における被爆の記憶継承と平和教育にどのような影響を与えるのかについて研究中。
- 2024年2月に実施された「日韓みらいスタディツアー」に参加。その後、2024年度の「日韓みらい若者支援事業」の活動の一環として、「在外被爆者」に関する語り場を実施。
- 2024年3月まで長野県の公立高校で英語教師として勤務。在職中、教員として国際交流活動に携わる。