ACC21はアジアに新しい流れをつくる国際協力NGOです

代表挨拶

日頃は、アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)の活動に対し、皆さまの温かいご理解とご支援をいただき、心よりお礼申し上げます。2016年度の事業開始に際し、ACC21を代表してひとことご挨拶申し上げます。

ACC21は2016年3月2日に東京都より「認定NPO法人」として認められました。これにより、ご支援をいただいている皆さま、そして今後ご支援いただける皆さまには、税制上の優遇措置をご利用いただけることになりました。ご活用いただきたくお願い申し上げます。この認定を受けて、これまで以上に公益性を重視した事業を強化するとともに、その組織運営と活動内容に関して情報公開を進める責任があると、意識を新たにしております。

ACC21は、2005年3月に、「アジアの人々が共に生き、支え合う、世界に開かれた、公正で平和な社会」づくりをビジョンに掲げ・発足しましたが、その後アジアを取り巻く環境は大きく変化しております。2015年7月に発表された「ミレニアム開発目標(MDGs)報告2015」によると、極度の貧困で苦しむアジアの人口は、これまでの基準に従えば、過去15年間でほぼ半減しています。しかし一方で、これらの多くの国では、貧富の格差がさらに拡大するという事態が起きています。日本を含む工業先進国にもある傾向ですが、貧困者がさらに貧困化し、富がこれまで以上に一部の富裕層に集中し始めています。

私たちは、微力ながらもこの問題に取り組み、同じ人間として顔の見える形で、貧困の中に取り残された人々のエンパワーメントにこれからも取り組んで参りたいと考えます。ACC21はそのビジョンの実現に向けて、「資金」「人」「知識・情報」「政策・制度変革」という4つの流れを促進し、その”流れ”をさらに拡大する役割を担う「人づくり」をミッションとして活動して参りました。人体に例えると、4つの流れは血液循環や神経にあたり、この4つの流れを促進し、さらにそれらの活動を担う人材を育てることで健康でバランスのとれた「公正で平和な社会」が実現するものと信じております。2016年度はこの理念に基づき、特に”資金の流れ”に重点を置く事業構成といたしました。

まず “資金の流れ”ついて、「権利を奪われた貧困家庭の子ども・青少年の支援プログラム」「権利を奪われた貧困家庭の助成の社会主流化支援プログラム」を新規に立ち上げ、ACC21独自に”資金の流れ”を作り出す事業への取り組みを開始いたします。認定NPOとしての税制優遇措置を活用し、皆様のご支援を得て、より直接的で効果的な資金援助を行います。
 また組織の発足当時より力を入れて参りました「公益信託制度の普及・啓発」に自主事業として取り組むとともに、「公益信託アジア・コミュニティ・トラスト(ACT)」の事務局としての能力をさらに高めてまいります。

“人の流れ”については、政府機関とも連携し、また企業からビジネス手法を学びながら貧困層の人々の自立自助を促し、経済的に持続的な発展をする能力を身に付けるよう支援していく必要があると考えております。具体的には、これまで取り組んでまいりました日比NGO協働推進事業や、日本企業との連携による途上国地域開発事業の推進をさらに進め、フィリピンのCARD-MRIなどの現地NGOとの協働関係を強化いたします。

“知識・情報の流れ”では、新規事業としてアジア現地NGOのダイレクトリーやデータベースの制作を通じ、アジアのNGO間のネットワークの推進を図ってまいります。また、CSR関連法整備が進むアジア三か国における信託制度を活用した日本企業とNGOの連携の実現可能性調査を2016年度も継続いたします。

“政策・制度変革の流れ”では、政府を含む資金提供機関と国際協力NGOのパートナーシップ構築のための提言活動、企業との連携による途上国の地域開発事業のモデル開発に取り組みます。また、2016年度も継続して国際連帯税フォーラムに参加し、国際協力NGOセンター、日比NGOネットワークの正会員団体としても積極的な役割をはたして参ります。

さらに”人づくり”においては、新5か年計画として現在進めている「第2次アジアNGOリーダー塾」のより高い質的向上を図って参ります。現地NGOでのインターンシップやNGO事業スタートアップ支援プロジェクトなど包括的な人材育成を目指します。

これらの事業は、私たちが掲げる『四つの流れとひとづくり』のコンセプトに基づき、国境を超えたNGO間、住民組織間で貧困層支援の経験の共有化を図り、連携、協働を推進するために重要なものばかりです。しかし、私たちのビジョンがまだ広く共有されているわけではありません。2016年度は、シニアと若い世代の参加促進に特に力を入れ、アジアの大きな流れを共に作って行く仲間づくりに取り組んで参ります。

どうか今後とも、私たちを取り巻くアジアの地域社会において、「共に生き、支え合う、世界に開かれた、公正で平和な社会」づくりを進めるため、皆さまのACC21活動へのご指導と、ご協力・ご支援をお願い申し上げます。

2016年4月

代表理事 伊藤 道雄