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2022-08-01

フィリピン路上の若者支援|これまでの活動・成果の調査報告

ACC21は、2018年7月から「フィリピンの路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」に取り組み、フィリピン・マニラの路上で暮らす若者に対し、職業技術やライフスキル(日常生活の様々な問題に前向きに対処する力)、適切なお金の使い方などを学ぶ機会を提供し、安定した仕事を手に入れ、社会の有用な人材となれるよう支援しています。

2022年3月末までに本プロジェクトの支援を受けた若者の数は、96人にのぼります。これまでの活動の成果を測り今後の活動の改善に生かしていくため、2021年9月、現地パートナー団体のチャイルドホープと共に、本プロジェクトの修了生を対象にヒアリング調査を行いました(回答者数60人。調査時点の修了生数は84人で、そのうち約7割が回答)。その結果、若者たちの経済状況に改善が見られただけでなく、行動や精神面にも良い変化が表れていることがわかりました。その結果をご報告します。[調査報告書をダウンロード]

本事業を修了し、自立への道を歩み出す若者たち(2022年3月の修了式)

経済的な変化

  • プロジェクト参加前と現在(評価時点)を比較すると、失業率は下がり、回答者の6割を超える37人が就職または自営業で生計を立てています。[正規雇用:17人、自営業:20人]

定期的に収入を得られるようになった37人の若者たちによると、金額に差はあるものの、以前に比べて自身や家族の生活費を多く払えるようになりました。さらに、政府や民間機関からの支援への依存度が減り、自立度が増しました。

プロジェクト修了後すぐに職に就くのは容易ではなく、平均して就職までに2~6か月、起業までに1~2か月を要していることがわかりました。なお、評価時点で無職だった17人のうち9人は、当時プロジェクトを修了したばかりで求職中でした。ほかの8名は、パンデミックによる失職や家庭の事情で無職の状態でした。

プロジェクト修了後に6人がハイスクール(中等学校)に復学するなどし、学業に復帰しました。これは、本プロジェクトへの参加を経て、将来の就職のためには最低でもハイスクール卒業の資格を持っていることが重要であることを再認識したからです。

  • プロジェクト参加前と参加後を比較すると、回答者の65%が収入を増やしました。プロジェクト参加後に家族の収入増に貢献している若者は68%に及びます(参加前は52%が貢献)。

※1PHP=約2.2円

前述のように、プロジェクトへの参加を経て、6割以上の若者が自分だけではなく家族を支える能力を高めることができました。反対に、家族に生活費を納めることのできない若者の割合は16%減少しました(参加前48%、参加後32%)。

  • 自営業を営む20人の若者のうち13人が路上での販売業を営み、様々な商品を取り扱っています。しかしビジネスの継続期間は短く、若者が自営業を営む能力の向上にはまだ課題が残されています。


自営業を営む若者20人のうち、13人が路上での販売、5人が市場・店舗での販売、2人がオンライン販売を営んでいます。扱う商品は様々で、最も多いのは食品以外の雑貨類(8人)です。

参加者のうち、プロジェクト参加後に起業した若者は23人でした。このうち20人は事業を継続しており、残る3人は赤字のため廃業しました。若者が起業したビジネスの持続期間は多くの場合3か月から1年程度で、起業・廃業を繰り返す傾向があります。その背景には、季節性の商品を扱っていること、路上での販売に対して地元行政が取り締まりを行っていること、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限の影響などがあります。

現在、ACC21とパートナー団体のチャイルドホープでは、若者たちのビジネスの収益性や持続性を高めていくための支援を強化するための改善を図っています。

行動・心理面の変化

  • プロジェクト参加前は、若者の97%が非行や悪い習慣の経験がありました(飲酒:68%、飲酒と喫煙:32%)が、プロジェクト修了後は25%が悪習慣を断ち、残る75%もその回数を減らしました。

  • プロジェクト参加前、半数の若者は人生の目標はなく、残り半数も漠然とした目標しか持っていませんでした。修了後、62%の若者は、具体的な人生の目標/計画を立て、残る38%も漠然ながら人生の目標を思い描くことができています。


具体的な目標や計画があると答えた37人に対して、その内容を聞いたところ、9割近い33人が個人的な成功と家族の幸せの両方につながる目標・計画を設定していました。他の2人は個人的な成功を優先していた一方、残る2人は家族の幸せに最も重きを置いていました。

個人的な目標の例は次の通りです:家の購入、安定したビジネスの運営、個人の生活に十分な収入の獲得、学業など。一方、家族の目標には次のようなものがありました:家族で暮らせる家の購入、家族が生活するのに十分な収入の獲得、弟妹や自分の子どもの通学・進学の支援など。

  • 回答者のほぼ全員が、プロジェクトへの参加を通じて自尊心や自信を増すことができました。

回答者のうち、9割にあたる54人は、研修で得た知識やスキルが仕事に応募するにあたっての自信となっていると回答しました。また、48人(80%)は就職面接に関する知識が実際の就職の際に役立つとし、58人(97%)はプロジェクトを修了したことで、仕事に応募する準備が整っていると感じています。