ACC21はアジアに新しい流れをつくる国際協力NGOです
2023-01-24

イベントレポート『ミャンマーで、インドで、社会変革に挑む ~ACC21から飛び立った社会起業家たちの活躍~』

私たちアジア・コミュニティ・センター21(ACC21)は、アジアを舞台にNGOや社会起業を立ち上げようとする人たちを育成する「アジアNGOリーダー塾/アジア社会起業家育成塾」を2009年から2018年の10年間実施しました。66人にのぼる修了生は、それぞれアジアでのソーシャルビジネスや東日本大震災の女性被災者の自立支援などに取り組むNGO/NPOの設立、国際協力NGOへの転職など、国内外の現場を舞台に、多方面で活躍しています。

このたび、その修了生の中から、ミャンマーでソーシャルビジネスを立ち上げ、展開している黒柳英哲氏(リンクルージョン株式会社 代表取締役、ACC21「アジアNGOリーダー塾」2010年度修了生)と、インドで女性の生計活動支援ビジネスを立ち上げた後、現在は教育支援活動を行っている水流早貴氏(NPO法人結び手 共同代表、ACC21「アジア社会起業家育成塾」2018年度修了生)を招き、活動にかける思いや苦労、塾での学びや関わりから得たものについてお聞きするオンライン・イベントを開催しました。

この記事は、2022年12月10日にオンラインで開催されたイベント「アジアの現場から“学ぶ旅”シリーズ#3『ミャンマーで、インドで、社会変革に挑む ~ACC21から飛び立った社会起業家たちの活躍~』のエッセンスをまとめたレポートです。

◆マイクロファイナンスのIT化支援でミャンマーのトップシェアを誇る黒柳さん

黒柳英哲さんは、2015年にリンクルージョン株式会社を創業し、ミャンマーに移住して今年で8年目を迎えます。主な事業は、マイクロファイナンス機関向けのITシステムの提供と、農村部の個人商店の仕入れ支援です。2020年3月には「第3回日経ソーシャルビジネスコンテスト」大賞を受賞されました。

ソーシャルビジネスを始めた原点とは

黒柳さんが事業を始めた背景には、10代の頃からバックパッカーとして途上国を旅した時の「生まれた場所が違うだけなのに、どうしてこんなにも将来のチャンスが違うのか」という憤りの気持ちをもったことがありました。その後、2010年度にACC21の「アジアNGOリーダー塾」で学び、その後ACC21のフィリピン事業に関わる中で、マイクロファイナンスの現場を歩く機会に恵まれ、「農村部は金融サービスに限らずありとあらゆるサービスや機会が不足している。金融サービスと非金融サービスを同時に届けなければ、根本的な解決にはならないのではないか」という課題に着目し、それが、この事業を始めた原点になっているといいます。

金融サービスを農村部へ広げる―マイクロファイナンスのIT化支援

創業後、黒柳さんがまず着手したのは「マイクロファイナンスのIT化支援」でした。写真のように、ミャンマーの一般的なマイクロファイナンス機関の支店は紙と電卓でかなり雑然としています。

そこで、マイクロファイナンス機関がより円滑に業務を進めることができるよう、ITシステムを提供する事業を始めました。システムを導入することで業務にかかるコストが低減され、採算のとりづらい地方部にも金融サービスを広げていくことできるうえ、顧客のニーズに沿った多様な金融商品を提供することが可能になります。

2016年に自社サービスを開始し、2022年12月現在ミャンマー国内で導入機関数トップシェアを誇る規模となり、累計で零細起業家約67万人(99%は女性)への130億円の融資を支援してきました。。

あらゆる商品・サービスを農村部へ―農村部の個人商店の仕入れ支援

マイクロファイナンスのIT化支援に取り組む中で、ミャンマー各地を歩いて回り、利用者の方々と話をするうちに、黒柳さんは「村に行けば行くほど、僻地に行けば行くほど、金融サービスだけではなく、原材料などを含めたありとあらゆるものが届いていない」という大きな問題に気づきました。そこで、2019年からは「農村部の個人商店の仕入れ支援」に着手しました。

人口の80%が暮らすミャンマーの地方部で、人々の生活を支えているのは個人商店です。しかし、店主たちは「商品を配達してもらえないから、自分で買い出しに行かなければいけないのがとても大変」、メーカーや卸からも「農村部の商店は小さすぎたり、遠すぎるので、商品を届けられない」という課題が聞かれました。そこで、農村部に近い場所に黒柳さんの会社が運営する倉庫を設け、メーカーや卸から商品を預り、あらかじめ契約した個人商店から毎週発注を受けて軒先まで配達するというサービスを始めました。

当初10店舗(2019年)を対象に始めたサービスは、2022年12月現在、5か所の倉庫を運営するまでに拡大し、対象村は342村、契約商店数は1,200店舗を超えました。年度末には1,400店舗、前年の2倍となる50億チャット(約3億円) の商品販売高を目指しています。大きな成功を感じる数字ですが、黒柳さんは「ミャンマー国内には67,285の村があるので、まだ全体の200分の1の地域でしか展開できていません。倉庫の数や営業地域を増やし、200倍の余白を小さくしていこうとしています」と、さらなる拡大を見据えています。

農村の生活が便利で豊かになることを目指して

この表は、黒柳さんの取り組む2つの事業と、目指す社会のつながりを表したものです。現在取り組む2つの事業を通じて、金融・非金融サービスの両方を地方農村部に広げ、様々な価値を提供すると、その結果として公平な所得向上の機会が実現し、農村部の人々が便利で豊かな生活を送れるようになり、ひいては農村経済の発展につながっていきます。また、これらの事業基盤を活用し、農村部で必要とされている様々な商品やサービス(例えば農業資材や、金融商品でも小口の医療保険・生命保険、さらには医療サービスなど)にも展開していきたいと今後のアイデアを共有してくださいました。

◆ソーシャルビジネスからNGOへ―インドの貧困問題の解決に取り組む水流さん

水流早貴さんは、2019年にインドでSAKURA Home Serviceというソーシャルビジネスを立ち上げ、貧困に苦しむスラムの女性たちに雇用を創出し、自立を支援してきました。その活躍が認められ、2021年にはForbes Japanの「30 UNDER 30 JAPAN」に選ばれました。現在は、インドで子どもの教育支援を行うNPO活動に取り組んでいます。

原点はインドでの貧困家庭の子どもたちとの出会い

水流さんの活動の原点も、バックパッカーとしていろいろな国を見て回った学生時代にありました。文化や宗教に魅力を感じて繰り返し訪れるようになったインドで、貧困を理由に学校に通い続けられなかったり、夢があっても叶えられない状況にある農村地域の子どもたちと出会い、生まれた環境が違うだけで、やりたいことが叶えられないことに憤りを感じ、貧困問題に関心を持ち始めたといいます。その後、貧困問題の現場や現状、その背景を理解したいと、大学を1年間休学してフィリピンやインドでインターンをしました。大学卒業後は日本の人材会社に就職し、社会人2年目でACC21の「アジア社会起業家育成塾」に参加しました。塾のプログラムの一環でインドネシアのNGOにインターンに派遣されて得た経験が大きなきっかけとなり、その後ボーダレス・ジャパン(社会起業家のプラットフォーム)に転職し、そこから出資を受ける形で2019年にインドで都市部の貧困層の女性の自立を目指したお掃除サービス“SAKURA Home Service”を創業しました。

コロナ禍による方向転換と変わらないミッション

その後紆余曲折を経て、2022年後期からはNPO法人結び手の共同代表に就任し、教育支援に携わっています。当初は女性の自立支援、そして現在は教育支援と、活動は変遷してきましたが、水流さんは一貫して「機会がない人たちに機会をつくる」をミッションに掲げ、「貧しい家庭環境やカーストなど、生まれた瞬間から決められた理不尽な環境によって、努力する機会や夢を見つける機会すらなく、それを実現するのはなおさら難しいという状況の人たちのためにできることは何か、考え続けてきました」といいます。

インドの貧困の連鎖とは― “SAKURA Home Service”開始のきっかけ

そもそも、どのような思いで“SAKURA Home Service”を始められたのでしょうか。
水流さんが活動するインドでは、最貧困層が1億7,000万人以上いるといわれています(インドの人口の2割以上)。貧困問題は複雑なものですが、水流さんの関わる教育や雇用に絞って貧困の連鎖について表したものが下図です。

貧しい環境に生まれると家事の手伝いなどをせざるを得ず、学校をドロップアウト(中途退学)し、読み書きができないまま成長すると、建設業などでの日雇いの労働者、メイドなど収入が不安定で労働環境が悪いことが多い仕事にしか就くことができません。そうした状況にいる親の子どもも、同様の状況に陥るという負の連鎖が続いていきます。

水流さんが様々なスラムを訪れ、母親たちから話を聞くと、彼「自分はスラムで一生を終えるかもしれないが、子どもたちは良い教育を受けてこの生活から抜け出してほしい」と口々に言いました。そこで、「このように“何とかしたい”と願っている女性たちに、活躍の機会さえ提供できれば、安定した収入を得て暮らしていくことができるのではないか」と考え、都市部のスラム街の女性の経済的貧困の解決を目的とした雇用創出の事業“SAKURA Home Service”を始めました。

読み書きも満足にできない女性たちが“プロ”として活躍


2019年7月にスタートした“SAKURA Home Service”は、スラムの女性たちを自社で雇用し、ゼロから掃除のスキルや対人マナーなどを教え、日本クオリティのサービスを現地富裕層やインドの駐在員に提供するというサービスです。当初は「家事代行サービス」を考えていましたが、試行錯誤の末、事業内容を「ハウスクリーニング」に転換しました。

女性たちを雇用するにあたっては、子どもに教育を受けさせ、貧困から抜け出したいという意欲のある女性たちを中心に選考しました。多くは、元々日雇い労働者やインド人宅のメイドとして収入を得ていた女性たちで、会社での勤務経験はなく、小学校4年生程度で中退し、ヒンディー語の読み書きも満足にできませんでした。そうした背景を考慮し、雑巾や洗剤の色を分けたり、イラストを活用して研修を行うなどして理解しやすい工夫を凝らし、約3年間の事業で計10名以上のスラム出身の女性を自社雇用しました。

女性たちにあらわれた変化

元々不安定な仕事をしていた女性たちは、Sakura Home Serviceで働くことで収入を約1.5倍に増やし、貯金や保険加入が可能になったほか、教育の質が高い私立学校に子どもを通わせることができるようになりました。また、パソコンやスマートフォンを使用できるようになり、英語を学習し始めた女性もいました。インド、特にスラムでは男尊女卑の風習が強く残り、家庭内で発言や意思決定が自由にできなかった女性たちは、この仕事の中で顧客との対人折衝などを通じて訓練を重ね、家庭や地域でも自分の意志や考えを発言することができるようになっていきました。

その後、この事業は終了しましたが、雇用していた女性たちは現在もホテルや日系企業のハウスキーパー、日本人駐在員の家庭のメイドなどとして活躍しています。

雇用支援から教育支援へ

2022年8月、水流さんは貧困家庭出身の子どもたちへの教育支援という新しいチャレンジを始めました。その最大の理由は、雇用事業で女性たちの採用や育成に携わる中で得た「“努力できること”も環境が与えてくれるスキルだ」という気づきでした。機会を与えられても努力できない人もいます。「幼少期にしっかりと教育を受けることができれば、貧困に陥らずに自分の力で立ち上がれる人が増えるのではないか」と、教育支援を始めることにしました。

現在は、NPO法人結び手という団体を立ち上げ、共同代表を務めています。きっかけは、ともに共同代表を務める福岡洸太郎氏とコロナ禍で緊急食料支援活動に取り組んだことでした。結び手では、「外部環境が原因で努力できない人を無くす」というミッションを掲げ、インドのほかにも国際教育やフィリピンでの活動など幅広く社会問題に取り組んでいます。

最貧困州やスラムで287名の子どもたちに教育機会を提供

インドでは主に、最貧困の州といわれるビハールの村やデリー近郊のスラム街で、現地の社会活動家たちと協力して基礎教育支援に取り組んでいます。インドの教育事情は州により異なりますが、一般に政府系の学校は無料ではあるものの、質の面で課題があり、通っていてもなかなか読み書きや計算が身につかないという状況があります。そこで、実質的な教育を届けるために、主に政府系の学校に通う貧困層の子ども向けに無料のアフタースクール(課外授業の提供)を運営しています。これまでに278名の子どもたちに学びの場を提供しました。

水流さんは最後に、「今後も『外部環境が原因で、努力できない人を無くす』というミッションを達成するために、インドという国や教育という分野に限定せず、解決されるべき課題に取り組んでいきたい」と力強く話されました。

◆「アジアNGOリーダー塾/アジア社会起業家育成塾」がもたらしたもの

冒頭で紹介した通り、ACC21が10年間実施した「アジアNGOリーダー塾/アジア社会起業家育成塾」で、黒柳さんは2010年度に、水流さんは2018年度に本塾で学び、修了されました。

イベントの後半では、トークセッションとして、ACC21副代表理事・事務局長の鈴木が、お二人から塾での学びなどについてお話を伺いました。

黒柳さんが塾やACC21との出会いで得たものとは

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黒柳さんが学んだ2010年度の「アジアNGOリーダー塾」では、10か月間を「基礎教養知識と社会デザイン」「海外研修」「問題意識を事業、組織活動として実現させるための知識」という大きな3つの群に分け、NGOの実践者や大学教授などから学ぶカリキュラムで行いました。

鈴木:2010年度の海外研修では塾生の皆さんでフィリピンを訪問されましたね。塾を通じて印象深い出来事や得られたものはありますか?

黒柳:海外研修・国内研修ともに、1年を通じて、経験や実績を持つトップ中のトップの方々からお話を聞いたり、現場を見る機会を多くもてたことが、非常に貴重な経験でした。日本の国際協力の黎明期を作った方々のプロフェッショナリズムやマインドセットを知ることができました。スキルや技術的なものよりも、そういった方々の心持ちや貫いてきた思いに触れることができたことは財産だと思います。もう一つは、私たちの代は同期が多かったので、多彩で優秀な方々と研修の合間にいろんな議論をすることで、視野を広げることができました。

マニラ首都圏ケソン市のゴミ山の地域で暮らす人々の生活状況を見に行った時の様子。海外研修では、農村地域や他の島も訪問し、地元NGOのリーダーや事業現場の農民らと対話を行い、10日間で計12団体を訪問した。

鈴木:黒柳さんは2014年にアジアNGOリーダー塾のスタートアップ支援プロジェクト(リーダー塾の修了生で、事業を立ち上げようとする方を対象に、その支援金を提供するプログラム)に応募され、20万円の支援金を受けられました。このときに黒柳さんが発表されたのが、現在の活動につながる「貧困削減効果を最大化するマイクロファイナンス3.0」というミャンマーでの事業でした。

黒柳:このプログラムの支援を受けた時は、すでにミャンマーに移住し、家賃1万円くらいの部屋に暮らしながら会社の立ち上げ準備をしていた時期でした。この20万円は非常に有効に事業資金として活用させていただき、感謝しています。

水流さんの大きな転機となったインドネシアでのインターン

水流さんが参加される1年前の2017年度、本塾は「アジア社会起業家育成塾」と名称を変更しました。当時、日本の経済が回復し、NGOに人材が集まりにくい状況にあったこと、「ソーシャルビジネス」や「社会企業」が注目され、若年層が関心を持ち始めた時期であったことが背景にありました。この年の研修では、企業と連携した事業を展開する、比較的若い世代の日本の国際協力NGOリーダーから学ぶ講義も取り入れられました。また、それまでの海外合同研修から、一人ひとりの問題意識にあった海外の団体へインターン派遣に変更されました。

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鈴木:水流さんは塾で学ばれている当初から、インドでの雇用創出事業の構想をもたれていましたね。そこで、海外インターン派遣では、インドネシア最古・最大規模のNGOで、ソーシャルビジネスのグループ企業や研修機関等をまとめるビナ・スワダヤ財団で学ばれました。どのような学びがありましたか?

水流:私にとって、インドネシアでのインターンはとても大きな転機になりました。ビナ・スワダヤ財団は非常に大きな組織ですので、様々な社会問題に関わられています。現地では、マイクロファイナンスのサービスを利用している女性や農業機具の小売店で話を聞きました。現場の最前線で活動に取り組まれている方とディスカッションをしたり、団体がどのように立ち上がったのかを聞いたことは、今でも学びとして生かされていると思っています。

水流:特に創業者のバンバン・イズマワンさんとのお話が非常に記憶に残っています。「私はいま日本で働いていますが、インドの貧困問題を解決したいと思っています。何から始めたらいいのかアドバイスをいただけないでしょうか」と率直にお願いしたところ、「ビナ・スワダヤ財団は非常に大きな組織だけれど、始めた時は彼一人でゼロから立ち上げたんだよ。最初は何事も小さな一歩からはじまるから、とにかく何か小さくてもいいから始めてみなさい」と背中を押してくださいました。それが、翌年の雇用事業の立ち上げにつながったので、強く記憶に残っています。

ビナ・スワダヤ財団のマイクロファイナンスの女性グループを訪問した時の水流さん(左から3番目)

 鈴木:水流さんは、塾の最後の成果発表会で、インドのスラムの経済的貧困を解決するメイド事業を発表されました。そのときすでに会社を辞めて、事業立ち上げに向けて動かれていたことに非常に驚きました。

水流:事業立ち上げに向けてインドで調査をする中で、早い段階で「掃除サービス」に目を付けていましたが、インドにも既存の掃除サービスやメイドサービスがありますので、差別化するためには「日本クオリティの高い品質の掃除サービス」であるという結論に達しました。現地でスタッフを育成するには私自身が日本クオリティの掃除スキルを身に付ける必要があると考え、成果発表会の頃には日本でホテルの掃除の仕事などを掛け持ちし、日本式の掃除を学んでからインドに渡航しました。

研修からの学びと現在

鈴木:改めてお二人に伺います。研修された当時を振り返って、当時の学びが現在の自分にどのように生かされていますか?

黒柳: NGOのトップ・リーダーたちから直接お話を伺うことができたことと、同期とのディスカッションという2点がとても有意義でした。もう一つ付け加えると、伊藤さん(ACC21代表理事)との出会いです。リーダー塾を修了した後もACC21の事業に関わらせてもらった時期があり、その中で、伊藤さんと色々とディスカッションをする機会を多くいただいたことは貴重な経験でした。いまでも、伊藤さんが持つネットワークを活用して、仲介していただいたり、相談に乗ってもらうなど助けていただいています。そもそも、私がミャンマーで活動することにしたのは、伊藤さんと現地を訪問したことがきっかけでしたので、深いご縁を感じています。

水流:海外研修が、私の中ではとても大きな経験になりました。また、国内でも、いろいろな社会起業家やNGOリーダーなど、立ち上げ最前線で活躍されている方のお話を聞く機会を多くいただきました。どれも一方的に講義を受けるだけでなく、“自分が解決したい問題にどう生かせるか”という視点で常に学びを吸収するディスカッションの場があったことで、自分のそれまでの学びや経験に加えて、より高い角度の高い視点を持てたと思います。

また、当時は日本で働いていたので、現地に行かずしてインドの貧困問題の深い原因などについて考える難しさを感じていましたが、ACC21の伊藤さんや鈴木さんに何度もご相談し、団体を紹介してもらったり、意見を伺ったことを覚えています。ACC21のネットワークに非常に助けられて、自分の社会問題に対する理解を深め、視点を学ばせていただきました。

NGOとソーシャルビジネス

鈴木:黒柳さんはソーシャルビジネスという形で事業に取り組まれています。水流さんはまずソーシャルビジネスを立ち上げ、その後現在はNGOという形で教育支援に取り組まれています。そのNGOとビジネスの限界と可能性ということについては、どのように考えられていますか。

黒柳:ソーシャルビジネスとNGOはどちらも必要な存在で、そこに本来ボーダーがあるわけではないと思っています。営利事業で取り組んだ方が効果が最大化されるものはビジネスで取り組めばよいですし、収益事業になりづらいものは非営利で賄われるべきだと思うので、あくまで役割分担で、両者とも活動できるがよいと考えています。最近の傾向として、NGOよりもソーシャルビジネスが良いという認識を持っている方が多い印象があります。私も含め、NGOの方々と一緒に、NGOの価値について理解を深めてもらう必要があるのではないかと思います。

水流:私も黒柳さんと同じように、役割分担だと考えています。私が学生時代の頃は、ちょうどソーシャルビジネスが注目を集めていた時期で、私も強く関心を持っていました。しかし、実際にソーシャルビジネスを立ち上げ、現在はNGOという形で取り組んでいる中では、ビジネスで解決できる課題もあれば、教育などNGOでなければ解決できない課題もあると感じています。そのため、事業モデルや社会問題の分野などによって、NGOとソーシャルビジネスが役割分担できる、あるいはネットワークを一緒に共有しながら協働するなど、色々な形があってもよいと思います。

◆塾の成果と今後

イベントの冒頭で、ACC21の伊藤代表理事は、塾の立ち上げ当初を振り返り、「当初、私たちが描いた夢は、“市民が立ち上がって、アジアの民衆と手をつなぎ、アジアをよくしていこう。非営利のセクターと企業や政府がコラボレーションをして、新しいアジア社会をつくっていこう”というものでした。(中略)今、日本や世界はコロナ禍やウクライナ侵攻、世界的な物価高、東アジアの軍事的な緊張の高まりなど暗い空気の中にありますが、私たちは市民社会の力をもっと高め、政府主導型で国家間が争うような状況を早くやめさせなくてはいけません。(黒柳さんや水流さんなど)若い世代がどんどん立ち上がっています。これからも日本のアジアにおける位置づけを考えるような人材を増やしていきたいと思います」と述べました。

後半の質疑応答では、現在の日本社会における若者に必要なこと、必要とされていることなど、参加者の方々から積極的な質問・意見交換が行われ、また当時の運営委員からも二人に対して激励のメッセージが述べられました。また、「ACC21の活動の具体的な成果を目にすることができ、非常に感激した」といった感想もいただきました。ACC21では、これからも様々な形で、活動の成果を知っていただく機会を作っていきたいと思います。

イベントには、一般の参加者の皆さまはもちろん、「アジアNGOリーダー塾/アジア社会起業家育成塾」の当時の運営委員、修了生の方々、そして塾の運営を10年にわたり支えてくださった(一財)MRAハウスの皆さま(※)にもご参加いただきました。最後に、当時の運営委員会を代表し、堀内光子氏より、締めくくりのご挨拶をいただきました。皆さま、誠にありがとうございました。

※「アジアNGOリーダー塾/アジア社会起業家育成塾」は、2009年度から2016年度までは(一財)MRAハウスとの共同事業、2017年度から18年度までは(一財)MRAハウスによる助成事業という形で事業を実施いたしました。長きにわたるご支援をいただき、誠にありがとうございます。

(報告:辻本紀子)

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